今宵も月夜に導かれ、

あっちの止まり木へふわり、こっちの止まり木にふわり。

いったいどこへ行き着くのやら。

そんな「月夜のみみずく」の自分のための備忘録

月夜の晩に みみずくの詩が聴こえる

2008年2月22日

 







  満月が過ぎた晩、月夜のみみずくは、久しぶりに巣に戻り、自炊をする……大阪で知り合ったホームレスのおっちゃんからもらった高麗人参入り、カレーライス。体を動かすようになってから食欲が徐々に出てきたようだ。先月はほとんど何も食べなくても、平気だったのに……こんな静かな晩、月夜のみみずくは深呼吸して、瞑想する。こころはそうやすやすと、穏やかになるものではない。行く先の不安との重荷を背負いながら、……それはもちろん誰しも人間なら、多かれ少なかれ同じことだけれど。 四国と九州への旅について、まとめようと思う。このブログは自己省察のためのものなのだから。

  そもそものきっかけ 

  新年が明けるとともに、月夜のみみずくは月のない闇夜でひっそりと苦痛に耐えていた、いや正確に書くと耐え切れないでいた。<原因のわからない>心の重さ、底知れぬ胸の苦しみ、一瞬一瞬が針の筵のような夜がいく夜も続いていた。酒を飲んでも心休まらず、友と語り合っても、心休まらない。時は一刻一刻と過ぎていく。試験もある、バイトもある、ゼミもある、友人は就活や勉強に勤しんでいる。なのに自分はなにもする気力がない。半年後には、教員採用試験も迫っている。 精神病院、心療内科、メンタルクリニック。過去に一回だけ診察に行こうとしたことがあったが、二ヶ月先まで予約一杯とのこと。世の中、自分より苦しいひとが大勢いることをして、自分はまだ軽いと思い、そのときは思いとどまった。そして次第に普通の生活ができるようになっていた。けれども、今度だけは、死にたいくらい苦しく、病院を探した。原付でいくつもの病院を廻るが、年末年始でどこも休み。やっと見つけた善光寺うらの病院で、僕は中度のうつ病という判断が下された。ただの堕落ではないかという思いを何とか消そうとしたが、誤診であれ、なんであれ自分はとにかくこのままじゃ死んでしまうと思った。言うとおりにしよう。

  投薬が始まる。すぐには治らない。短くて半年、薬を飲み続け、必要最低限だけのことをするようにといわれた。……試験を翌日にひかえたある晩、親友2人にすべてを打ち明け、助けを求めた。最後に手帳に書いてくれた「俺との約束」五箇条。帰って、テキストを開くも、苦しくて文字が読めない。今日の分の薬はもう飲んだ。足りないのか? 棚に手を伸ばした瞬間、約束を思い出し、手が止まった。ならどうすればいい?? 混乱するみみずく、もう一つの約束「散歩しろ!!(辛いときこそ)」。 深夜、行く当ても無かったが、善光寺まで行った。手を合わせても心休まらず。とぼとぼ帰り道、公園で座っていて夜空を見上げた。「どこか遠くに行こう」そのとき、唐突に思い浮かんだ。 医師にははじめ反対されたが、最後には許可が下りた。昔、通っていたワークランドという織物工房の知り合いの<こころひめ>さんに相談し、四国に行くことになった。仕事も、バイトもボラも全部キャンセルして。





 四国 祈りの旅





 四国の一週間は、ひとことでいえば救いを求める祈りの旅だった。月夜のみみずくは神さまのことはわからない。一応、お墓は空海の真言宗、大日如来だけれど。本土から出るフェリーターミナルで一人、何時間も待つ。最初は真新しい景色、久しぶりに見る海や空に見とれていたが、じっと建物の中にいると、また心の沈みがきた。薬はもう飲んだ。もうじきフェリーも来る。そう思って椅子に座っていた。……TVから僕の好きな槇原さんが「Flrefly ~僕は生きていく」を歌っていた。〈♪自分に生きていく価値を見つけられないのであれば、だれかの小さなきっかけになりたい だから僕は生きていく〉……霊場、お墓、夕日、生きとし生けるものすべてに祈る。「自分の病気はなんとします。それより善光寺さんの後ろに住む友人を苦しめた自分を許して下さい。その人の幸せ、お願いしまします。本当にお願いします」手を合わせることで、自分の心が少しずつ穏やかになっていくような気がした。





 九州 屋久島への旅  



  四国の巡礼から一週間。ゼミの卒ゼミ式の司会をし、久しぶりに大緊張してしまい、翌日反動がきてしまった。月夜のみみずくにはまだ休養が必要。休養は怠惰と似ている。だから寮で寝ていても苦しかった。バイトで稼いだささやかなお金も尽きた。迷ったが、親の仕送りから借り、屋久島へ行こうと思った。屋久島は、僕が善意のつもりで苦しめてしまった友人が行ったことがあると聞いたからと、もう一つ昔見た映画、山田洋次の「学校」の少年が、屋久杉に会って、一人前になる力をもらったのを思い出したから。

  旅の途中、下の投稿のように、いろんな人に出会った。特に影響をうけたのは「スローラ~イフ」と呪文を唱えるお兄さん。ためたお金で一年間旅をしている。このお兄さんと縄文杉まで登ったが、途中途中ある名もない屋久杉をみては、そのたびに立ち止まり「はぁ」とか「ほぉ」とか感嘆している。「縄文杉だけがすごいとは思いません。どの杉もみんな立派だ」。ゆったり生きるお兄さんから、ゆっくり生きることを学びました。

 

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