そもそも足摺岬の断崖につながる細い道は、お遍路さんが訪ねるくらいだった。それが脚光を浴びたのが昭和24年、この小説が発表されたのがきっかけだそうだ。 貧しい、けれどもこころ優しい文学青年がたどりついた足摺岬も、今日のような雨だった。この青年は古びた宿に泊まる。そこで会戦争の傷をかかえ生きる老遍路と薬売りに出会う…… 鬱だった青年はなんの理由もなく死を思い、(死とは究極の哲学の問題といった人がいるらしい) 岬へ向かう。断崖絶壁の先端へ……死の入り口へ……
しかしその日、宿に帰ってきた青年のすがたがあった。しかも気を失って。人々のやさしさに救われ、自殺を思いとどまった青年は、のちに宿の娘と結ばれ、社会に戻っていったのだった。
まさかこのユースホステルが、その宿じゃないとは思うけれど……足摺岬は死への入り口ではなくて、生への目覚めの場所なんだろうか……卒寮した先輩もそんなこといってた……生きる意志があるってわかったとき、私は初めてこの寮の屋上の端に立てた、と。
…と、こんな写真をとりつつ考えこむ月夜のみみずくであった。アルミ缶のうえにあるみかん…
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