今宵も月夜に導かれ、

あっちの止まり木へふわり、こっちの止まり木にふわり。

いったいどこへ行き着くのやら。

そんな「月夜のみみずく」の自分のための備忘録

高知ユースにつきました

2008年2月3日

 

桂浜の石と落日 話し掛けたアヒル夫婦

桂浜、夕日はもう沈んでたのでしばらく砂浜でたたずんでいた。砂浜とはいうけれど、ここの浜には大きめの砂利がたくさんある。まるで、いろとりどりの宝石をちりばめたようなんです。ひとつひとつの丸い小石が違う色形をしていて、しばしその美しさに見入ってしまいました。……ふと顔をあげて、西の方をみると、大きな巌のうえに赤い鳥居があるのを発見、浜辺を走って上にのぼると、ああ、ちょうど、燃えるような夕日が海に沈む瞬間でした。

思わず手を合わせ、そのまま五分くらい祈りつづけ……こんなに長いあいた、手をあわせたのは初めてだと思う。祈りがとどきますように……本当にお願いしますと何度もあたまを下げて。

……帰りぎわ、浜辺に水族館があって、その敷地に大きな網の檻をみつけた。なかには数匹のウミネコ……そして岩のかげに二羽よりそうアヒルの夫婦。保護しているのかと思ったらそうじゃなくて、巨大な鳥かごのなかで飼育されているのです。メスのほうでしょうか、アヒルの一羽は首をすくめ、じっと動きません。……思わず、アヒルにこう話かけました。

「なあ、せまい檻のなかで、幸せ? 外にでたい? そうだよね。だってほら、あんなきれいな海と空がすぐ近くにあるんだもん……奥さん、元気ないみたいだね……ひょっとして鬱?僕がもってる薬は人間用だからあげられないよ……」

だんなさんのほうは、首をすくめた奥さんのそばからはなれず、僕をじっとみつめてた……

「いつも励ましてるんだね」

急に首をたてにふるオスに僕はそれほど驚かなかった。ひとと動物と心がつながることもあるから。

「……その気持ちすごく、すごくわかる。励ましても、いまはだめかもしれないね。すくなくとも、相手を思いやるあなたのやさしさは僕はわかるよ、本当だよ」

尾をふりふりしてオスが応える。メスはずっとうなだれたまま。

「元気でね。いつか自由になれる日がくることを祈ってる。さよなら」

月のみみずく、四国の神々、自然、いきるもの、さまざまに話かけ、そのたびに、自分が励まされていることにきづく。

だって、だれかに小さな幸せへの願いを送ること、それが人の生きる意味だと思うから。

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