眠れない。眠れないぞ、こりゃあまったく、じつに悪意にみちた、手ひどい眠れなさだ。
眠くて眠くて仕方ないはずなのに、眠れない。羊がもう500匹も通りすぎたというのに。
英語じゃないといけないのかな。シープ、シープ、シープ。スリープ。迷える子羊。
しかし羊が500匹になるまで、なにもうたかわずに数えつづけたみみずくは、根気づよい。見込みがある。地道な努力であった。
頭んなかの、羊が500匹は、好き勝手にあばれはじめた。歌うもの、踊るもの、こら、静かにせんか!
そのうち、羊たちは勝手に恋愛して、さらには子どもをばんばか作りやがって、みるみるうちに増えいく……
なに? 頭んなかが狭いだって? 勝手に主張しやがってこのやろ。ここはいやしくもみみずく様の土地であるぞ。
今日という今日こそ、卒論をかかなくちゃいけないんだから、どうかみみずくに眠りを与えてください。
そのうち、羊は子どもを連れて一匹、一匹と消えていく。マイナス一匹、マイナス二匹……
あと498匹と数えないと、僕は眠れない。
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