みみずく:「どうもね。ここんとこね。調子が悪くってね。いけないね。実にいけない。」
ちびへび:「ふーん。」
みみずく:「・・・」
みみずく:「なんというか、胸の辺りが、こう、ふさがれるような、重い感じがして・・・、薬はもうずっとのんでるんだけど・・・」
ちびへび:「ふーむ。」
みみずく:「なんなんだろうね」
ちびへび:「幼児期の偏った生育環境から生じたいまの君の性格の歪みから生じている問題だね。でも、それはだれの責任といったようなことではすまされない。協力するよ。」
みみずく:「・・・・・・話は飛ぶんだけど、毎晩思うんだ、ちびへび、人は死んだらどうなるの。」
ちびへび:「どうにもならないんじゃないの? まさか生まれ変わるとでも?」
みみずく:「いやまさか・・・ 」
みみずく:「なんというか・・・ようするに、最近、理由も無いのに、しんどいばっかりで、こんなに苦しいのなら、何のためにいきてるんだろうって思うんだよ。なんのために? いったいどれだけ生きたいと思っているひとがいるっていうのにね! 不謹慎だと思う。でももし命が電池みたいに交換できるのならあげちゃってもいいかなと思う。でもできない。だから生きてる」
ちびへび:「(ばくっ)」
みみずく:「?」
ちびへび:「(むしゃむしゃ・・・)・・・ぼくはそう思ったことはないなあ。人生はなんてすばらしいんだろう!って思う。今日が終わるのが実に惜しい、明日が来るのが待ち遠しい。ああ神さま、ちびへびを生んでくれてありがとう。ちびへびを生かしてくれてありがとう。みみずくにあわせてくれてありがとう。よよよよよ・・・(涙)」
みみずくはタメイキをつきました。タメイキをつくと同時に、ここ二、三日にあった嫌な出来事を思い出し、またタメイキをつきました。 (考えかたひとつちがうだけで、いきかたっていうものはまるっきりかわってきてしまうんだな。)
さて、それからも、二匹はたわいのない話をしながらぶらぶらとあるき続けました。夜は更けていきます小川の橋を渡り、麦畑をこえ、牧場を抜け・・・いつのまにか人家のなかにまぎれこんでいたのでした。(つづく)
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