そして、やぎ科でないヒト科のミミズクは、いま、早朝の千葉駅にいる。
一晩、駅で明かした。悪夢を見ているようだった。監視カメラがびっしりある地下道で寝てると、「直ちにに移動しなさい」と放送が流れる。
むくむくと起き上がった隣の女性と目があった。新潟からきて、体を売って、日々暮らしているのだと平然と話す。
みみずくは思わずいった。「女はいいですね」……なんと残酷な言葉であったか。でも自分の本心なのを知って嫌気がさした。僕も、彼女も醜悪だった。
夜の駅はホームレスのひとたちが集まる。その脇を着飾った若い男女が、通りすぎていく。なんなんだろう?この世界は?なんのために、みんな生きているのだろう?
「ヒトなんて、滅びてしまえばいいのに」
ぐむはあああぅ、我ながらいつにもまして暗い。ますます希望をうしないそうになる、そんな長い夜が明けていく。早く夜が明けてしまえと思う、闇夜のみみずく。
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