父は、地球儀を私に見せながら、世界がどんなに広いのかを語り、仏教では、この地球を含む惑星世界が千集まったものを小千世界と呼び、その小千世界がさらに千集まって中千世界となり、中千世界が千集まって大千世界となると説く。それが三千大千世界という意味だと教えてくれて、
「おとなになったら、せめてこの地球の世界中を観て廻れ。金では買えない途方もなく大きなものを得るだろう」 と何度も何度も言ったものである。だから、私は、また今夜も地球儀を見る。日本と同じ経度にある国々、日本と同じ緯度にある国々はどこだろうと考えて、それをノートに書きつける。
「生きものたちの部屋」から「地球儀」 宮本輝 新潮文庫
・・・・・・地球儀を眺めて、世界に思いをはせる。自分の中の小さな世界を、かくも広げてくれる道具、地球儀。多かれ少なかれ、日ごろ僕たちが言う「教材」とはこういう性質を持ち合わせているに違いない。
追伸: あけぼの花壇のコスモスたち。ここ数日の初夏の日差しで、一気に背を伸ばした。一粒の種からここまで大きくなるなんて・・・・・・一粒の種に宿る生命力に日々驚く。
そういえば、この花壇を一緒に作った先輩は、事情があって寮を出ていってしまった。世話をしているのは僕一人となった。
目立つところにあるけれど、この花壇に目をかける人はほとんどいない。
月夜のみみずく:「夏になって、君に花が咲いたら、きっとみんな振り向いてくれるさ。人はね、花のない君には気づけないものなんだ。」
コスモスに話しかけている僕は、ちょっとした不審者かもしれない。今は花が咲いていなくても、いつか花を咲かせる日がくることを信じて、僕は毎日コスモスに話しかけている。
・・・・・・ある程度、人目は避けてね(笑)
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