今宵も月夜に導かれ、

あっちの止まり木へふわり、こっちの止まり木にふわり。

いったいどこへ行き着くのやら。

そんな「月夜のみみずく」の自分のための備忘録

すし祭り

2009年8月30日

 

明日企画されていたその名も「x棟すし祭り」は、台風11号の直撃が予想されるため影響で中止となった。残念半分、ほっとしたというのが偽りのないみみずくの気持ちである。

予定では、x棟のスタッフ総出で8人の入居を、リフト車をつかい街の回転寿司チェーンにお連れする、という大企画。


大企画と書いたが、認知症をもつ8人を、しかもほぼ寝たきりに近い方を含む8人が外食に出かけるというのは、当たり前のようで、とてつもなくオオゴトである。


バリアフリーが進んでいるのは公共機関施設。グループホームの外へ一歩でれば、そこは健常者の闊歩する社会。「お年寄り」「高齢者」ならとにかく「+認知症」の現実は、知られているより知られていない。映画やドラマ、フィクションではない。現実である。

さて、そもそもグループホームから入居者が揃って外にでること自体、なかなかないことだ。


人権侵害なんてまさか言われないだろうがホームは、フェンスと鍵のかかった門に閉ざされている。万一、徘徊を見過ごし外に出られたら命に関わるからである。


しかし、かつての職員はすごいもので、かつてディズニーランドまで出かけた話を聞いた。高齢者福祉パスを提示して長蛇の列をスルー、先頭にたったものの、とうのご入居は「こ〜ろ〜さ〜れ〜る〜」と大パニックに陥って大変だったという。いざアトラクションに入るとけっこう楽しまれていたとか……その後ホームで長寿を全うした顔の知れない一老婆の話を聞いて、余生にてそんな体験ができるということは奇跡であるとみみずくは思った。


回転寿司ごとき、まだまだかもしれない。

この「すし祭り」。誰も楽しみにはしていない。話しても五分後には忘れてしまうから。しかし大切なのは、<<外にでて皆と寿司を食べる瞬間の幸せ>>だと思う。


忘れることはそれほど重要なことではないのかも知れない。


明日は、出前で"すし祭り"だ。

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