「(うちのグループホームに)空きがあるから入ってもいいよ」とみみずくの先輩職員。
丁重におことわりする。
なぜって? 身内の介護には、なぜか自信がないのだ。
夕方、調理担当でひとり台所でてんやわんやしていたら(・・・九人のご入居に三人職員がいるのに、その場にいたのはみみずく一人。タバコ休憩の二人の職員に声掛けする。「ちょっと1人では見切れないので!!!!(新人残して二人同時に休憩しないでください!)」 調理しながら、九人全員に目を向けることはできない。視角的にも、心理的余裕においてもみみずくには見ることはできない・・・
それはさておき、夕食後リーダーがベランダに小鳥の雛が落ちていのを発見した。
部屋の中にいれると、突然飛び立ち、冷蔵庫の下にもぐりこむ。三十分ライトで照らして探したがみつからない。冷蔵庫の下はかなり暑くなっている。ご入居優先であることを気にしつつ、日勤のタイムカードを押していることに自信を持ち、みみずjくは救助に当たる。よく猫ちゃんが木にのぼったままおりられなくなり、レスキュー隊がきたりする映像をみるが、小鳥はどうか。夜勤者の女性と、「さすがに救急車は呼べないと」いう話になり、リーダーが奮闘、冷蔵庫をもちあげ救出とあいなった。
そうしてこの小鳥さんは、いま うちにいる。帰り際ペットショップのお兄さんに相談してみた。メジロのようだ。野生なので飼うことは罪になるらしい。 けれども親切に、餌づけの方法を教わった。教えてもらった方法で粟粒を煮て、食べさせいまは、みみずくの部屋ですやすや寝ている。まんまると。
かわ。いそうだから外に逃がせばと、多くの職場の人はいっていた。しかし外に落ちているこの子は猫に食べられるかアリにかみ殺されるかのどちらかであった。自然の摂理とはいえない。ここは住宅地の密集したコンクリの街である。その影響はないとはいえない。
この子は生きそうだ、とみみずくは思った。
森へ帰れるように、自律できるまで面倒をみよう・・・
「ここはミキサー食も作れるわけだし、小鳥の介護もいいんじゃない?」「もってかえってペットショップでみてもらって。お金は分担で払うから」と夜勤さんはいった。優しい人だと思った。優しい人は、かならず人一倍つらい経験をもっている。みみずくはそう思う。
かくてみみずくは、この子の保護者となった。
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