閉鎖病棟は、厳重に施錠され、外出の許可すらめったにでない。一生忘れられないこんなできごともあった……
その日は偶然、保護者同伴で大学まで外出。と、友人にすれ違う。1月に悩みを朝まで聞いてくれた女の先輩が亡くなったというのだ。
先輩は小学校に赴任したばかりだった。しかもその日がお通夜。ながば信じられず大泣きしながら、善光寺の参道を歩き病院にもどった。
死に顔をみたくて、感謝の気持ちを伝えたくてその晩、脱走を試みたり、看護士と大喧嘩したり、とにかく大変だった。結局、翌日、また母に長野まできてもらい葬儀にでることができたのだが先輩はすでに焼かれていた。
その日から毎日、先輩の実家の方角に向かってオカリナをふく。夢にでてきて、暗いトンネルに入ろうとする僕を止めてくれたのも先輩だった。
一生忘れられない日だった。彼女の果たせなかった夢を、自分が叶えるため、病気を直す決意をかためた。先輩はみみずくが自責したり落ち込むのを望んではいない、と言い聞かせて。
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