先週の土曜日、夜。緊張しつつ喫茶店のドアをあけるなり、
ママ「あら、O型の学生さんって聞いてたけど、ずいぶんね」
みみずく(・・・「ずいぶん」ってなんだろう???)
薄暗い店内の一席で、交渉が始まる。
ママ「うちは創業50年の老舗だからね。そこらの喫茶とは違うよ」
聞くところによるとこの喫茶店は戦後まもなく、画材店からはじまり、そのご、この長野の地で、いわば芸術家のサロン的な場所として長年愛されている店なのだそうだ。店内の壁にはいたるところに、映画のポスターやら作品やらがかけてある。柱も棚も、確かに半世紀という時間にじっくりといぶされたかのように黒く光っていた。
ママ「・・・で? いくら欲しいの?」
みみずく「はっぴ・・・、いえ、はじめは、ななひゃく何ぼで結構です。僕も病み上がりで人並みに勤まる自信がありませんから、そのときはいつでもクビにしてください」
いったいなんていうアルバイトだろう。主人は笑った。
「あたしは、いうときはいうからね。」
アルバイトの主婦らしき人が「ママ」と呼ぶ女主人。みみずくの祖母より若いくらいだろうか。渡された名紙にはコーヒーのしみがついていたが、みみずくが結んでいたネクタイをやおら「あんたいいのむすんでんじゃない」といった。これは先輩からもらった、わが家唯一の絹のネクタイ、綿とは違う。むむ、やはりマスターである。
土曜日の晩は混雑して、二回フロアまでお客が入っていた。突っ立っているわけにも行かず、手伝うことに。飲み物一つ一つに決まった記号があり、それを注文表に記入しなければならない。アイスクリームなら「スプ」、紅茶なら「ペコ」。幸い、醤油は無かったので、出し間違えることはなさそうだった。
今宵も月夜に導かれ、
あっちの止まり木へふわり、こっちの止まり木にふわり。
いったいどこへ行き着くのやら。
そんな「月夜のみみずく」の自分のための備忘録
2008年8月11日
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