台風は通り過ぎ、無事荷物は新しい部屋の収まるべきところに収まり、静かに沈黙していた。
* * *
一軒目は、あえて下から攻める。ぴんぽーん。
無言…
二軒目は人気がない。ぴんぽーん。
がさごそ… そして静まる。
夜の8時。時間が遅すぎたか?三軒目は自分の部屋がある二階だ。いわばお隣近所だ。ちょっと恐る恐る、ぴんぽーん。
無反応。
隣部屋の4軒目。怯えはじめたみみずくの意表をついてぴんぽーん、は故障中の張りがみ。
こんこん…こんばんは(小さな声で)
反応がないの過去の三回の経験から容易に推察された。これを演繹法というのか帰納法というのか、あるいはどちらにも当てはまらいのか、わからない。
みみずくは怪しいセールスもしないし、宗教の勧誘もしない。ただ引っ越しの挨拶と、洗剤をお届けに上がったのです。
私は一人。たった一人この新しい町で誰も知る人のいない三日目の夜を迎える。
神様、誰かと話がしたい。
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