今宵も月夜に導かれ、

あっちの止まり木へふわり、こっちの止まり木にふわり。

いったいどこへ行き着くのやら。

そんな「月夜のみみずく」の自分のための備忘録

大遅刻1・2

2009年12月11日

 

眠い眼をこすり、バイクでいつもの坂道をかけあがっていく……間に合うはずであった。


半年残業はしこたましても遅刻はしたことのないみみずく。


がしかし。今朝は遅刻した。


というのも通勤途中の通り過ぎる景色のなかに、ふりかえざるを得ない何かをみた気がしたからである。


(んんん???)

(人だ)


(だれ?)


(どこかでみた気がする)

(あ、あ、ありゃ帰宅願望の激しい隣の棟の○○さんがひとりで、歩いとるよ!)


それは通常、有り得ないことであった。 なんてこった。


前にこのかたは過去、事務の姉ちゃんを"職員"と信用させ、門の外に出ていってしまい一騒動になった。鵜呑みにしてしまった事務も事務だが、本来自由に外出できるのがグループホームの望ましい姿ではある。


バイクを停め、五十メートル坂を下り みみずくはそのひとのもとに走りよった。


案の定、「あそこはなかなか返してくれないんですよ」「いまうちに帰る途中です」


みみずく、ひとまずホームに連絡、上司に「連れてかえってきなさい」との命をうける。


かといって強引に連れて帰ることもできず、パーソンセンタードケアとつぶやきながら、一緒に坂を下っていったのであった。

つづき

み「○○さん、えーと、やっぱりこっちの方に行きますかねぇ?」

「そうだねえ、娘が先にいってまってるからね」

み「おちかくなんですか?」

「ここは私の散歩道だったから」

み「・・・・・・」

ついて行くとなんてことはない、人里離れた山奥でもない、交番でもない、本当に娘の家についてしまった。

「ああ、○○の人? ごめんね、荷物持って先きちゃった」

電話

上司から「ああみみずくくん? タイムカード書かなくていいから戻ってきて。娘さんと一時帰宅したんだって」

み「・・・はい・・・では、業務に復帰します・・・」

信用してよかった。連れて帰ってこなくて良かった。

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