切羽詰っているとき、一人電話相談をする。
相談相手も回答者も自分という・・・
パーソナリティ
「はい、今週もやってまいりました。人生相談。このコーナーでは、心理学者であり、精神科医であり、また作家でもあられる、 川獺(かわうそ)が、皆さんの心の悩みを解決します。川獺先生は、現在、精神病院の医師として勤務する傍ら、自らもアルコール中毒症と戦っておられます。」
カワウソ
「はい、よろしく。多少ロレツガ回りませんが」
パーソナリティ
「では今週の相談者からの電話に切り替えます、月夜のミミズクさん、どうぞ」
ミミズク「こんばんは・・・」
カワウソ「はい、こんばんは。どのような御相談ですか?」
ミミズク「あの、試験がせまっていてプレッシャーに押しつぶされそうなのです・・・」
カワウソ「ほう」
ミミズク「このままではいけないと・・・」
カワウソ「ふむ」
ミミズク「一週間後なんですが、でも自信がなくて・・・」
カワウソ「どのような試験ですか?」
ミミズク「とある会社の採用試験なんですが。面接も心配なんですが、もう一つ、模擬プレゼンというものがあって。」
カワウソ「何を売るんです?」
ミミズク「はい。それが・・・ 子どもたちに“夢”を売る商売なんです」
カワウソ「ほう、それは珍しいビジネスですな」
ミミズク「限られた時間のなかで、子どもたちの興味と感心を持たせ、購買意欲の向上につながる話をしなきゃなんないのです」
カワウソ「まず聞きたいことがある」
ミミズク「はい」
カワウソ「あなたには売るような”夢”があるのですが?」
ミミズク「・・・・・」
カワウソ「ない?」
ミミズク(小さな声で)「あります・・・・・・でもそれが、なんなのか、まだはっきり言葉にできなくて」
カワウソ「あなたの中で、いまだはっきりとした形になっていない」
ミミズク「ですから、僕は、この試験が心配なのではなくて、受ける資格があるのかどうか、悩んでいるみたいです」
カワウソ「なるほど、お悩みが具体的になってきましたね。それで?」
ミミズク「それでって?」
カワウソ「あなたは試験を受けるんでしょ?」
ミミズク「はい」
カワウソ「だったら受ける資格があるかないか考えないで、残された時間を、あなた自身にある力を表現するための準備に当てればよいです。その会社があなたの力を大丈夫と思えば、大丈夫なんです。使い物にならないと思えば、落とすだけです。あなたが決めることではない」
ミミズク「そうか」
カワウソ「結局、悩んでいる様に見えて、答えは決まっているものです。悩みとは、ためらいに外なりません」
ミミズク「そのとおりでした」
カワウソ「ためらいは、障害です。早いうちにぶっ潰さねばなりません。自分の力を飾らず、ありのままを表現できるよう願っています。そちらのほうが大事で、試験の結果など、考えなくてもよろしい」
ミミズク「わかりました。」
カワウソ「そもそも、夢なんて自分が抱き、実現していくものであって、売るようなものではないのですから。試験はあくまで、形式にすぎないということを、申し添えておきます。」
今宵も月夜に導かれ、
あっちの止まり木へふわり、こっちの止まり木にふわり。
いったいどこへ行き着くのやら。
そんな「月夜のみみずく」の自分のための備忘録
2010年7月29日
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