今宵も月夜に導かれ、

あっちの止まり木へふわり、こっちの止まり木にふわり。

いったいどこへ行き着くのやら。

そんな「月夜のみみずく」の自分のための備忘録

困ったときは・・・電話相談

2010年7月29日

 

切羽詰っているとき、一人電話相談をする。

 相談相手も回答者も自分という・・・



パーソナリティ

 「はい、今週もやってまいりました。人生相談。このコーナーでは、心理学者であり、精神科医であり、また作家でもあられる、 川獺(かわうそ)が、皆さんの心の悩みを解決します。川獺先生は、現在、精神病院の医師として勤務する傍ら、自らもアルコール中毒症と戦っておられます。」


 カワウソ

「はい、よろしく。多少ロレツガ回りませんが」




パーソナリティ

「では今週の相談者からの電話に切り替えます、月夜のミミズクさん、どうぞ」



ミミズク「こんばんは・・・」


カワウソ「はい、こんばんは。どのような御相談ですか?」


ミミズク「あの、試験がせまっていてプレッシャーに押しつぶされそうなのです・・・」


カワウソ「ほう」


ミミズク「このままではいけないと・・・」


カワウソ「ふむ」


ミミズク「一週間後なんですが、でも自信がなくて・・・」


カワウソ「どのような試験ですか?」


ミミズク「とある会社の採用試験なんですが。面接も心配なんですが、もう一つ、模擬プレゼンというものがあって。」


カワウソ「何を売るんです?」


ミミズク「はい。それが・・・ 子どもたちに“夢”を売る商売なんです」


カワウソ「ほう、それは珍しいビジネスですな」


ミミズク「限られた時間のなかで、子どもたちの興味と感心を持たせ、購買意欲の向上につながる話をしなきゃなんないのです」


カワウソ「まず聞きたいことがある」


ミミズク「はい」


カワウソ「あなたには売るような”夢”があるのですが?」


ミミズク「・・・・・」


カワウソ「ない?」


ミミズク(小さな声で)「あります・・・・・・でもそれが、なんなのか、まだはっきり言葉にできなくて」


カワウソ「あなたの中で、いまだはっきりとした形になっていない」


ミミズク「ですから、僕は、この試験が心配なのではなくて、受ける資格があるのかどうか、悩んでいるみたいです」


カワウソ「なるほど、お悩みが具体的になってきましたね。それで?」


ミミズク「それでって?」


カワウソ「あなたは試験を受けるんでしょ?」


ミミズク「はい」


カワウソ「だったら受ける資格があるかないか考えないで、残された時間を、あなた自身にある力を表現するための準備に当てればよいです。その会社があなたの力を大丈夫と思えば、大丈夫なんです。使い物にならないと思えば、落とすだけです。あなたが決めることではない」



ミミズク「そうか」


カワウソ「結局、悩んでいる様に見えて、答えは決まっているものです。悩みとは、ためらいに外なりません」



ミミズク「そのとおりでした」


カワウソ「ためらいは、障害です。早いうちにぶっ潰さねばなりません。自分の力を飾らず、ありのままを表現できるよう願っています。そちらのほうが大事で、試験の結果など、考えなくてもよろしい」


ミミズク「わかりました。」


カワウソ「そもそも、夢なんて自分が抱き、実現していくものであって、売るようなものではないのですから。試験はあくまで、形式にすぎないということを、申し添えておきます。」

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